九月八日
午前中は堀川秀吉選挙事務所で話し、午後は県連常任執行委員
会に出席し、石井繁丸君と尾島に来る途中伊勢崎に下車して小林
邦作君等が検束されているので、警察に行き貰い下げ、陳情し石
井君と共に尾島に来て宝泉、島之郷、沢野、九合の演説会に出る。
(解説)
須永好は、無産強戸村(ごうどむら)を成立させた農民運動の全国的
リーダーの一人。農民労働党結成時には、議長を務めたが、労働農
民党から日本労農党を分裂させた。9月8日記事中の「県連」は、分裂
した無産政党が統一に向かい、全国労農大衆党が7月に成立し、群馬
県でも9月25日の県議選挙に3名の候補を擁立した「県連」のことであ
る。前日前橋市に住む石井繁丸宅に泊まっており、堀川秀吉は前橋
市で立候補を検討したが、この時は見送った。石井繁丸は弁護士、多
喜二奪還事件の警察側との交渉では、中心的役割を果たした。強戸村
の小作争議では、裁判闘争を多用したが、石井繁丸はそれを受け持っ
た。